
AIに負けない力を育てる~おもちゃ・絵本の効果
現代はAIの進化が急速に進み、教育のあり方や子どもの成長に関する議論も活発化しています。英語教育やお受験のブームに代表されるように、情報があふれる「情報戦争」の時代を迎えている中、早期教育に潜む弊害もあり、AI時代を見据えた新しい力を育むために、何が必要なのかを考える必要があります。
本記事では、AIに負けない力「非認知能力」を育てる重要性と、知育おもちゃや絵本が子どもに与える効果について探っていきます。
情報戦争の時代と教育トレンド
近年、教育の世界は以前からの学歴偏重の考えやグローバル化の影響を受け、次のようなトレンドからさまざまな情報が交錯しています。
お受験ブーム
有名校に入学するための受験対策が幼少期から行われ、知識詰め込み型の教育が主流となっています。
- 保育園と幼稚園、どっちがお受験に有利?
- お受験費用は自家用車1台分!
- 親の学歴や職業が合否に影響する?
- 中学受験の準備は5年生からでは手遅れ?
英語教育の早期化
幼児期からの英語教育が注目され、バイリンガル育成を目指す家庭も増加中。
- 小さいうちから始めれば、ネイティブのようになれる?
- 10歳までに始めなければ高い英語力は身につかない?
- インターナショナルに通わせたい
STEM教育ブーム
高所得者層に理系が多いことなどから、プログラミング教育やデジタルリテラシーが重要視されています。
- お隣さんは、小学生からプログラミング言語を学ばせてるらしい
- 子どもにパソコンを使わせるのは小学1年生からがいい?
- ChatGPTって、子どもに使わせていい?
早期教育の弊害と問題点
「三つ子の魂百まで」と昔から言うし、脳は3歳までの間に急成長するらしい…
確かに、脳の重さは3歳で大人の約80~90%に達します。この時期に早期教育をするのは効果がありそうです。たくさん刺激を与えてあげたい時期ではありますね。
しかし、少子化の影響から子ども一人あたりにかけられる教育費が増えていることもあり教育熱が高まる一方で、早期教育には次のような弊害も指摘されています。
知育用の動画
知識のインプットに偏ることで、子どもの体験や感情表現が不足する可能性があります。
これは、知育動画を長時間観るとむしろ言葉の発達が遅れたという研究結果があります。
10分以内、30分以内、1時間以上の知育動画を数年間見続けた結果、1時間以上の動画を見続けた場合、逆に言語発達が遅れるというものです。
また、米国小児学会は親へ次のように提言しています。
- 2歳以下の子どもがメディア(テレビや動画)を視聴することは推奨しません
- 理想的な視聴は、保護者が子どもと一緒に見ることです
- 子どもの寝室にテレビを置くのは控えましょう
つまり、応答性がない一方通行の動画を見ることよりも、親とのコミュニケーションを通して言葉を学ぶ方が重要ということです。
スマートフォンに「子守り」をさせるのもほどほどにしないといけませんね。
英語の早期教育のウソ
今や、小学校に上がる前に英語を始めている子どもは3人に1人と言われます。(明光ネットワークジャパンの2017年の調査)
しかし、英語教育は早いほうがいいという常識を疑う調査結果があります。
英語圏に移住した子どもの英語力を見てみると、6歳までの早い時期に移住した子どもよりも、7~12歳に移住した子どもの方が早く英語を習得していたことがわかりました。
これは、発音や文法、語彙など表面上は違う二言語でも、抽象的思考力やメタ言語能力においては深層部分で共通している部分がある(カミンズの二言語共有説)ため、最初にしっかりと日本語の読み書きを身につけた子どもの方が短期間で英語を習得できると推定できます。
これからのAI時代に求められる力
最近話題のChatGPT、仕事に役立ちそうだからと、活用の仕方に興味がある方も少なくないでしょう。
AIがもたらすインパクトの大きさから、今後は次のような仕事は価値がなくなりAIに置き換わると言われています。
- 事務補助
- 法務
- 建築、エンジニアリング
- ライフサイエンス
- 財務業務
- その他
AIにない能力が必要
ではこれからのAI時代に子どもたちはどんな能力を身につければ生き残れるのでしょうか。
それは、AIにはない能力です。
そもそも、AIに代替される能力とは、
- 論理力
- 計算能力
- 知識の暗記能力
つまり、学校の成績で評価される能力、偏差値で表現される能力です。
一方でAIにない能力(少なくとも今のAIにはない能力)とは、
- 新しい価値を創造する能力
- 他者に共感し、協働する力
- 目標を達成する力
言い換えると学校のテストでは測れない「人間力」のことで、具体的には次のような力です。
- 自信
- やり抜く力
- 忍耐力と根気
- 意志力
- 状況判断力
- 社会性とリーダーシップ
- レジリエンス(立ち直る力)
- 創造性
- 誠実、好奇心、協調性
これらの力を非認知能力といいます。
AI時代こそ「いいしつけ」が必要
子どもの発達心理学の第一人者である内田伸子さんによると、非認知能力を育むことは、子どもが主体的に探索し自律的に考えて行動する子に育てることであり、「いいしつけ」をすることが重要だと言います。
非認知能力を育むうえで重要なのが、強制型のしつけではなく、共有型のしつけである
共有型のしつけとは、
- 子どもに「考える余地」を与える援助的な接し方
- 子どもに合わせ柔軟に調整する
- 3H(褒める、励ます、広げる)の言葉かけ
強制型のしつけとは、
- 考える余地を与えない接し方
- 指示的で過度な介入、トップダウン型
- 3H(褒める、励ます、広げる)の言葉かけが少ない
そして、ある調査の結果、難関を突破(難関大学への合格、難易度の高い職業への就職、スポーツ・文化領域で突出した実績)した子どもの約64%が共有型しつけで育っていることがわかりました。
親が意識的にしていたことは、
- 幼児期に思いきり遊ばせた
- 遊びの時間を子どもと過ごすことが多かった
- 趣味や好きなことに集中して取り組ませるようにした
親が毎日していたことは、
- 子どもと一緒に話す
- 子どもと一緒に遊ぶ
- 絵本の読み聞かせをする
結局、大事なことはシンプルで子どもを中心に考える、ということですね。
おもちゃや絵本の読み聞かせがいいわけ
子どもの成長において、おもちゃや絵本の読み聞かせは非常に効果的です。
遊びを通してアクティブラーニング
子どもにとって「遊び」とは、仕事に対立する概念ではありません。また「怠け」を意味するものでもありません。
子どもにとっての「遊び」とは「自発的な活動」であり、手指を動かしながら想像し、繰り返すことで学ぶことがとても多く、大脳が生き生きと働いている状態を指します。
このとき子どもが主体的に遊べるように、どんなおもちゃを選ぶか、どんな環境で遊ぶか、親はどう関わるか、ということも大事です。
想像は創造の源泉
絵本を読むことで想像の世界が豊かになります。そして想像の世界が基になり加工され新しいものが付け加わり、創造の可能性が生まれます。
このとき、経験が豊かであればあるほど想像世界は豊かなものになります。
絵本は経験を補完する役割があります。もちろん絵本だけではよくありません。子どもは原体験を通してさまざまなことを学びますが、絵本と原体験はお互いに補完し合って想像世界を豊かにしてくれます。
おもちゃと絵本を利用するなら
最後まで読んでいただいた方は、きっと、おもちゃと絵本の読み聞かせに興味をお持ちのことでしょう。
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