
絵本の選び方
みなさんは、絵本を選ぶときどうやって選んでいるでしょうか。
対象年齢を参考にして、あとは何となく絵の感じで選んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、保育園が絵本を選ぶときの考え方をご紹介します。ご家庭での絵本選びにぜひ参考にしてみてください。
絵本の環境をつくろう
環境を通して保育する
保育園ではこのような考え方を大前提に保育を行っています。
環境とは、モノ、人、場所、時間など、つまり子どもが触れるもの、関わるものすべてです。
これらの環境との相互作用の中で子どもは成長していきます。
モノの中には絵本も含まれますが、ただ絵本をそろえるだけでは良い環境とは言えません。
その子どもが今どのような環境にいるのかによって絵本を選ぶ、または絵本を選びながら環境をつくっていく、そのような視点があるといいでしょう。
具体的に言うと、子どもの日常を通して、そこから見える子どもの興味や関心を絵本につなげていく、という考え方が大事です。
また逆に、絵本を通して芽生えた興味や関心を、日常の生活や遊びに取り込むのもいいでしょう。
教え込むために利用しない
子どもの興味や関心に目を向けずに、子どもに何かを教え込もうとするための道具として絵本を選ぶと、大人が与えるだけの一方通行の時間になってしまいます。
子どもにとって絵本を読むことの効果はたくさんありますが、一方通行ではその効果もあまり期待できません。そもそも絵本を読みたがらないこともあるでしょう。
遊びと絵本
ここからは、子どもの興味や関心と絵本をどうやって結びつけたらよいか、例をご紹介していきます。
まずは遊びと絵本についてです。
子どもの生活において「遊び」はなくてはならないものです。子どもは遊びを通していろいろなことを学んでいきます。
絵本はそんな子どもの遊びを支える役割があります。
『ぺんぎんたいそう』(齋藤 槙 作 / 福音館書店)は2匹のペンギンが絵本の中でペンギン体操を始めます。

子どもはいろいろな体の動きができるような年齢になると、活動範囲が広がり世界が変わります。動きたい衝動を持っている子どもが読むと、体を動かしたくなるでしょう。
『いないいないばあ』(松谷 みよ子 文 / 瀬川 康男 絵 / 童心社)は、子どもと一緒に読んだ後、昔からの遊び「いないいないばあ」を一緒に楽しみたくなります。
この遊びはいつの時代も子どもが喜ぶんですね。絵本が遊びの手助けをしてくれます。
『おおきなかぶ』(A・トルストイ 再話 / 内田 莉莎子 訳 / 佐藤 忠良 画 / 福音館書店)はみんな知っている絵本です。
絵のすばらしさと「うんとこしょ、どっこいしょ」の音の繰り返しがおもしろいです。ついにかぶが抜けたときはこどもも大喜び。
繰り返しの言葉から、お友だちとイメージを共有しながらごっこ遊びがはじまります。
『もこもこもこ』(谷川 俊太郎 作 / 元永 定正 絵 / 文研出版)は、何だかわからないけれど、子どもが喜ぶ不思議な絵本です。
はじまりは「しーん」と静か。やがて、「もこ」、地面の一部が盛り上がり、「もこもこ」、それは大きくなり、隣には「にょき」っと新たにちいさな盛り上がり。ページをめくるごとに次々に起こる驚きの展開。
出てくる言葉は「もこ」「にょき」「ぽろり」と奇妙な擬音ばかり。1歳ころの子どもは、リズミカルで繰り返しのことば遊びが大好きです。
『コッコさんのおみせ』(片山 健 作・絵 / 福音館書店)は、コッコさんがお店屋さんごっこで遊ぶ様子が描かれています。
この絵本を読むと子どもはごっこ遊びをしたくなります。大人は絵本を読んであげるだけではなく、その後のごっこ遊びも一緒に楽しむことで、子どもの経験の幅が広がります。
生活と絵本
子どもにとっての絵本は生活とともにあります。子どもの興味や関心は常に生活の中にあるはずだからです。
その興味や関心を満たしてあげることで、子どもはいろいろな経験をして育っていきます。
子どもには直接の体験が必要ですが、直接の体験には限界があります。そんなとき絵本はこどもの世界を広げ、豊かな経験を与えてくれます。
身近な植物との経験
植物との暮らしはこどもにとって五感や感受性、知的好奇心を刺激し、心を豊かにする情操教育となります。
生活の中に植物の絵本があることで、子どもは植物を身近に感じ、自然と人間との関係を知るようになっていきます。
『ひまわり』(和歌山 静子 作 / 福音館書店)は、ひまわりが一粒の種から「どんどこどん」の言葉とともに成長していく様子が躍動感をもって描かれています。
立派に成長したひまわりは、やがて最後に枯れて大地に種を落とします。小さな種が、生命の力強い営みを感じさせます。
絵本を読んだ後に、実際にひまわりを育てたりなどすれば、それは子どもにとって心に残り、はるかに豊かな経験となっていくでしょう。
生き物の命を感じる
子どもによっては植物よりも生き物との暮らしのほうが身近な場合もあるでしょう。
虫やペットなど家で飼うことも多く、特に大人になると苦手になってしまう虫は、子どもの時期は好きなことが多いものです。
そんな中で、生と死に出会う貴重な命の体験をすることもあるでしょう。
『せみとり めいじん』(かみや しん 作 / 奥本 大三郎 監修 / 福音館書店)は、せみとり名人のごんちゃんが、せみとりのコツを教えてくれる絵本です。
この絵本を読んだ後は、虫に興味がなかったこどもも虫を採りに行きたくなることでしょう。そんなときはぜひ網と虫かごを持って、子どもと一緒に採りに行きましょう。
食事、着脱、料理など
子どもは、生まれたときから自立するために食事、排泄、衣類の着脱など、日常生活に必要な暮らし方を学んでいきます。
絵本にはそのような人としての暮らしを描いたものがたくさんあります。子どもは絵本の主人公と自分を重ね合わせて、ときには苦手なことも共感しながら学んでいきます。
『はるちゃんトイレ』(中川ひろたか 文 / 田中靖夫 絵 / 文溪堂)は、はるちゃんがひとりでトイレに行こうとするけどなかなかうまくいかないという内容の絵本です。
子どもはなかなかトイレに行きたがらないことも多いものですが、大人が読むとなんとなく子どもの気持ちがわかるような気がしてきます。
子どももはるちゃんと自分を重ね合わせて、トイレがひとりでできたときは大きな達成感を感じることでしょう。
『はじめてのおつかい』(筒井 頼子 作 / 林 明子 絵 / 福音館書店)では、みいちゃんがママに頼まれて牛乳を買いに出かけます。
人の役に立って「ありがとう」と言われることがうれしく思える5歳の頃。
すでにおつかいを経験している子どもはみいちゃんに共感するでしょう。まだおつかいを経験していない子どもは、絵本の中で経験することになります。
日本古来の行事とともに育つ
子どもは一年の季節を通して、いろいろな行事を経験していきます。
日本古来の行事には意味があり、行事を通して子どもは国の歴史や文化を感じ取っていきます。
やがて自分が生きている国や地域への所属感が芽生え、精神的な豊かさを育みます。
『ワニぼうのこいのぼり』(内田麟太郎 文 / 高畠純 絵 / 文溪堂)は、お父さんがワニぼうのためにこいのぼりを買ってくれます。
風に泳ぐこいのぼりを見ているうちにワニの親子も泳いでみることに。さらに町中の動物たちも泳ぐことに。
というシュールな内容で飽きがきません。お父さんとワニぼうの会話に癒やされます。
子どもが絵本を選ぶ
これまで、絵本の選び方のほんの一例をご紹介しましたが、日々移り変わる目の前の子どもたちの興味や関心を探り当てるのは、なかなか難しいことです。
これは日々の子どもの様子や反応を頼りに絵本を選んでいくしかありません。その繰り返しによって、子どもにはまる一冊と出会えるようになると思います。
目の前の子どもが何を読みたがっているか、子どものことをよく知り、理解しようとすることが大事です。
例えば、保育園や幼稚園に通っているお子さんであれば、帰りに「きょうはこんなことがあったんだよ!」と興奮して話すことに耳を傾けてみましょう。
それは、親にとってとても楽しいことではないでしょうか。絵本選びは子育てを楽しくしてくれます。
絵本をレンタルする
WithToy(ウィズトイ)は、おもちゃ・絵本の月額定額レンタルサービスです。
子どもの年齢に応じた発達課題や、興味・関心に合わせて絵本を選んでくれます。
お子さまの興味や関心事をお伝えいただくと、ウィズトイがお子さまに合わせたおもちゃ・絵本を選定いたします。
子育てを楽しみながらぜひご活用ください。